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zoom RSS Wing(2853) 廣瀬誠『萬葉集 その漲るいのち』抜き書き(1)萬葉集の読み方

<<   作成日時 : 2019/04/14 08:46   >>

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【伊勢雅臣】昨日のJOG(1114) 「『令和』〜『萬葉集』に込められた大伴家持の祈り」では、廣瀬誠先生の『萬葉集 その漲るいのち』から、大伴家持を中心に述べましたが、この名著にはそれ以外にも多くの貴重な指摘が含まれていますので、何回かに分けてご紹介させていただきます。
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廣瀬誠『萬葉集 その漲るいのち』、国文研叢書 No.30、Kindle版
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■萬葉集の読み方

『萬葉集』は『古事記』『日本書紀』とともにほぼ完全な姿で残ったのである。これらの古典によって、千二百年前のみ祖たちの声は今もわれら子孫の心にいきいきとひびき、われら日本人の魂を呼びさまし、はぐくみ、培ひ、力づけてゐる。
『萬葉集』が伝存したといふ、このかけがへのない幸慶に私は深く感動し、感激の言葉を知らないのである。『萬葉集』の研究はここから始まるのである。

 古人の思ひに共感し、古人と共に泣き、悲しみ、喜び、歎くのが真の古典の読み方である。真の歴史の学び方である。


■生活の中の萬葉

私の幼い頃、私の母は「あす早く目を覚まさうと思ったら、〈ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れゆく舟をしぞ思ふ〉と三遍唱へて眠りなさい。必ず起床しようと思ふ時間に目がさめる」と教ヘてくれ、その通りにしたが、不思議と期待の時刻に目が覚めたものであった。一種の自己暗示であらう。人麿崇敬また和歌の呪的能力の信仰が民間信仰となって庶民の間に拡がってゐた、興味深い一例だ。

昭和五十六年、癌研病院で生死をかけた大手術を受けた時、妻は幾夜も徹夜で看病してくれたが、妻は萬葉の歌「わが背子は物な思ほし事しあらば火にも水にもわれ無けなくに」を誦しながら、私を看とった。小学校を卒業するとき、担当の先生から一人に一首づつ萬葉歌を贈られたが、たまたま妻はこの歌を与へられ、それが四十年後、口をついて出て来たのであった。


■両殿下の御前で立山賦を暗誦

 昭和五十一年二月、皇太子殿下が冬季国体に来県された時、私は立山の歴史についてお話申上げたが、『萬葉集』に立山が歌はれてゐることに言及すると、「それはどんな歌ですか」と御下間になった。私が朗々と立山賦を暗誦したところ、殿下も妃殿下もニッコリほほゑまれた。なつかしい思ひ出だ。


■『萬葉集』は一大山彙(い)

『萬葉集』は一大山彙(い)である。ふところの深い大山群である。壮大な人麻呂山脈が天を突いて連なり、長大な家持山脈の山脚は遠く海に没してゐる。憶良山脈・虫麻呂山脈・赤人山脈・旅人山脈等々いくつもの山脈が折り重なり、ところどころから火山塊が噴き出し、盛りあがり、錯綜し、その間に谷川がきらめき、大森林が山腹を埋めて黒々と茂り、天上の楽園のやうなお花畑が開け、かと思ふと、巨岩累々たる山稜が烈風に吹かれてゐる。雪渓の割れ目からは落ち激つ水の音が聞え、冷たい霧を吹きあげてくる。そんな感じだ。

 顧みれば、山群の背後には、古事記山脈、書紀山脈、風土記山脈、祝詞山脈が相重なって、碧青(へきじょう)に匂ひ、縹渺(ひょうびょう)、天に溶けてゐる。
 ゆくてには、平原に没した萬葉大山脈が彼方で再び隆起し、実朝山塊となって聳え、更にかなたには真淵・宗武・良寛・元義・篤好・曙覧らの山々を起こし、そのいや果には、子規の巨峰に始まる根岸山脈が、いくたの近代山群を率ゐて都市地の彼方に連なってゐる。すべて高葉山脈の山勢のつづきだ。
 この深山路の一角を、たどたどしく辿った私の、拙い山岳紀行が本書だ。


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