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zoom RSS No.816 「受ける権利」と「与える光栄」

<<   作成日時 : 2013/09/22 05:42   >>

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「戦後半世紀の間、私たちは受ける権利だけを教え、与える光栄についてはほとんど触れなかったのです」

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■■■ JOG Step 韓国問題−現代編 開講 ■■■

 国際派日本人養成講座ステップメールコース JOG Step は、教育再生、国際政治、日本文化など個別分野毎に、過去の記事を選び、週2回、メール配信し、体系的にその分野を学べるコースです。

 お申し込みいただいた時点から、読者毎に順次、第1号から配信していきます。本誌と同様、無料です。

 第1弾の「教育再生」( http://blog.jog-net.jp/201305/article_2.html )に続き、
第2弾「韓国問題−現代編」を開講いたします。

 近年の韓国は異常な反日活動が燃えさかって、我々日本人としても、この隣国との今後のつきあい方を考えるためには、「韓国はなぜこうなのか」をよく理解する必要があります。

 お申し込みはこちらから。 http://blog.jog-net.jp/201309/article_9.html
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■1.私たちは子供たちに「乞食の思想のみを教えた」

 曽野綾子さんが週刊現代に掲載した「何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」が、波紋を呼んでいる。いかにも曽野さんらしい直言だ。

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 そもそも実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理なんです。なぜなら、赤ちゃんは始終熱を出す。大抵はたいしたことないですけど、母親としては心配です。その場合、「すみません、早退させてください」となるのは無理もありません。でも、そのたびに「どうぞ、急いで帰りなさい」と快く送り出せる会社ばかりではないはずです。

 ですから、女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。[1]
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 これに対して、「産休制度は労働基準法に明記された労働者の権利」などという批判も上がっているが、実は曽野さんは、そもそもこういう「受ける権利」のみを主張する思想に対して、次のような根本的な指摘をしているのである。

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 しかし戦後半世紀の間、私たちは子供たちに、受ける権利だけを教え、与える光栄についてはほとんど触れなかったのです。これはいわば乞食の思想のみを教えたことになります。[2,p61]
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■2.「死ぬと決まった子供には食事を与えない親もいるのです」

 曽野さんの言葉の背景には、作家業の傍ら、カトリック教徒として30年間も南米やアフリカの人道援助をしてきた経験がある。その後半10年は日本財団会長としても務めている。その経験から、たとえばこんな光景を紹介している。

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 私は或る国で、瀕死の床にある27歳の、かつて砕石工だったエイズ患者の小屋を訪ね、23歳の若い母と、まだ一歳にならない男の子について、案内してくれた土地の牧師さんと話したことがありました。

「お母さんと子供はHIVプラスなのですか?」
と私は尋ねました。

「検査をしていないのです。食べるのにやっとの人たちが、どうして検査費用を出せるのでしょう。・・・」

 牧師さんはこう言ってからためらいがちに付け加えました。

「それにアフリカでは、もう死ぬと決まった子供には、食事を与えない親もいるのです。だから事実がわからない方が子供にとって幸せ、という気もします。[1,p206]
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 日本財団から粉ミルクを配ったらどうだろう、と曽野さんは一瞬、考えたが、「井戸水で粉ミルクを溶いたら、エイズになる前に下痢で死亡する確率が高いのは眼に見えている」と思い直した。

 曽野さんは、こういう世界を見てきた上で発言している。餓えも知らない温室の中で育った現代の日本人が「受ける権利」ばかりを主張している姿を見れば、「甘ったれ」と一喝するのも頷ける気がする。


■3.片道3時間かけて山奥の患者に薬を届ける医者

 曽野さんの言う「与える光栄」とは、たとえば以下のような事例を指すのだろう。日本財団はWHO(世界保健機構)を通じて全世界にハンセン病の薬を配っているが、曽野さんが中国でその現場を視察した時のこと。

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 中国では「白衣の医師」と呼びたいのですが、実は汚れて埃色になった白衣を着た中国医療の医師に田舎で会ったことがあります。
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 昔の中国の礼儀と習慣か、彼は「タバコをいかがですか?」と勧めた。その田舎の医師の人間的な温かみに曽根さんは心打たれた。

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 このような人が、片道3時間もかかる山奥に住む、貧しいハンセン病の患者さんに、毎月一度、薬を届けに行ってくれているのです。こうした患者さんたちは時には視力も失い、足も切断してしまっていて、とても山を越えて薬を取りにはこられないからです。[2,p124]
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(日本財団などから)「いくら資金が提供されても、実際にそれが患者たちに恩恵をもたらすのは、各地で実際に働いている医師や看護婦たちがいて初めてできることだ」として、曽野さんはこれらの人々の「与える光栄」を称賛している。


■4.「アフリカには孤児はいない」

「与える光栄」とは財団や医師・看護婦などだけにあるものではない。苦難の中で、人々は助け合うことで「与える光栄」を得る。

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 数人の人が、「アフリカには孤児はいない」と言いました。世界中にはしばしば見捨てられた子供たちが路上で生活したり、アメリカや日本などでは政府の手によって育てられるケースも少なくありません。

しかしアフリカでは常に誰か優しい親戚や村の人が出てきて、その子を育てるというのです。(JOG注:エチオピアの)シリンカのキャンプにいた(同:ひとりぽっちで衰弱しきった)少年も、体を治して村に帰れば、たとえ親がいなくとも、近所の知人に見守られて、それなりに幸福な人生を送ったことだろう、と思います。

アメリカや日本の社会機構では見られない、温かい人間関係を私はしばしばアフリカから学んだのです。[2,p218]
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 曽野さんが会長を務められた日本財団の前身は、財団法人日本船舶振興会であり、その初代会長が笹川良一氏だった。笹川氏はアフリカを饑餓から救うべく、身を呈して活動を行った。そのきっかけは、1985年にエチオピアを襲った餓死者2百万人という大飢饉だった。

 笹川氏は、「飢えたものに一匹の魚を与えるよりも、魚を釣る方法を教える」という方針を立て、農民に品種改良したトウモロコシの種子と化学肥料を貸し与え、効果的な育成方法を教えるだけで何倍も収穫を増やすことに成功させたのだった。そしてわずか10年後にはエチオピアは食料を自給自足できるようになった。

 その過程で多くの青年たちが農業指導員として農家を指導して回った。多くの農民を飢餓から救ったのは、彼らの同胞に対する「与える光栄」だった。[a,b]


■5.「夢のお国」

 中国の奥地やアフリカから見れば、日本は「夢のお国」だ、と曽野さんは言う。[2,p72]

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1.清潔な水が飲める
2.餓死するような人も、乞食も、行き倒れも(例外的にしか)いない。つまり社会保障の制度がある。

3.医療が誰にでも比較的すみやかに受けられる。
4.弱者の悪口は言えないが、強者の悪口は言える。

5.ほとんどの人が雨の漏らない、電気、水道、暖房、浴室、炊事場などが屋内にある家に住み、テレビや電話などを使える。

6.行きたいところに行くことができ、親の出身が何であろうと、子供は自分の才能次第で、いかなる職や地位に就くこともできる。
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 まだまだ11項まで続くが、このぐらいにしておこう。
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 もちろん時々は例外がありますが、今までに108カ国を歩いた私の、それが実感です。

 それにもかかわらず、日本は悪い国だ、という人がいて、殊にマスコミがそうした空気を後押ししました。私たちはもっと子供たちに厳しい現実を教えるべきでありました。[2,p73]
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 我々はなぜこんな「夢のお国」の住人でいられるのか。それは先人たちが一生懸命作ってきたこの「夢のお国」にたまたま生まれついたという偶然の僥倖に過ぎない。その僥倖と先人たちのお陰に感謝し、たまたま我々のような好運には恵まれなかった人々に「与える光栄」を少しぐらいは持ちたいと思うのが、成熟した大人の思慮分別だろう。

 その好運に気がつかず感謝もせずして、「産休は労働者の権利」などとさらに「受ける権利」を言い募る人々の未熟さを、曽野さんは「甘ったれ」と叱咤しているのである。

 そして、戦後の教育とマスコミは、こういう未熟な人々を作ることを目指してきた。彼らは自分が「夢のお国」に住んでいる現実に気がつかず、さらなる「夢」を見て、不満をぶつけるのである。それは本人にとっても不幸な生き方であることは言うまでもない。


■6.「夢のお国」が綻びた時に

「夢のお国」に生まれて、そこから出た事のない人は、その有り難さが分からない。しかし、大震災などの非常時に、その「夢のお国」の生活が一時的にでも失われた時に、その有り難さが明らかになる。

 そして阪神淡路大震災、東日本大震災などで被災した人々も、また救援に立ち上がった人々も、「受ける権利」よりも「与える光栄」を選んだのである。

 阪神淡路大震災で大勢の青年が被災者支援に立ち上がったことから「ボランティア元年」と呼ばれ、また東日本大震災でも人々の支え合う「絆」が再認識されたことは、「夢のお国」から一度出てみることで、「与える光栄」の大切さに気がついたということである。

 弊誌699号「国柄は非常の時に現れる(上)〜 それぞれの『奉公』」[c]では、自衛隊員、消防隊員は言うに及ばず、一日でも早く皆のために店を開けようとしたスーパーのおばさんから、被災者に一つでも多くの救援物資を届けようと努力した宅配便のおにいさんまで、皆がそれぞれの場で立派な「奉公」をした事実を紹介した。「奉公」とは「公に奉ずる」ことで、「与える光栄」そのものである。

「与える光栄」を目指す生き方は武士道[d]から教育勅語[e,f]、さらには皇室の伝統的精神[g]まで、我が国の国民生活の根幹をなしてきた文化伝統であった。それが我が先人の生き方であり、教えでもあった。いや、だからこそ「夢のお国」が実現されたのだ。


■7.「与えること」と「与えられること」で「豊かな生活」

「受ける権利」は教えたが「与える光栄」は教えない戦後教育の欠陥を正すために、曽野さんが提案しているのが「小中高校での奉仕活動」だ。「教育改革国民会議」の審議報告の中で、次のように説いている。

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 そのために小学校と中学校では2週間、高校では1ヶ月間を奉仕活動の期間として適用する。これは、既に社会に出て働いている同年代の青年たちを含めた国民すべてに適用する。そして農作業や森林の整備、高齢者介護などの人道的作業に当たらせる。・・・

 そこで初めて青年たちは、自分を知るだろう。力と健康と忍耐する心を有していることに満足し、受けるだけでなく、与えることが可能になった大人の自分を発見する。障害者もできる範囲ですべての奉仕活動に加わるから、彼らもまた新しい世界を発見し、多くの友人を得るだろう。[2,p26]
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 奉仕活動を通じて、子供たちは「与えること」の難しさと同時に、それができた喜びを知り、同時に「与えられること」の有り難さも実感するだろう。それこそが真に「与える光栄」を体験する道なのである。


■8.「日本のいかなる知識人の口からも聞いたことのないような」
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 私は多くの国で、文盲であったり、日本人からみたら信じられないほどのつましい生活をしている人々の言動に、日本のいかなる知識人の口からも聞いたことのないような生命の尊厳に対する畏敬の念、家族に対する優しさ、悲痛なまでの義務への忠誠心、弱者に対する労り、などを見ました。

 ブラジルの知恵遅れの貧しい未婚の母は、「子供はかわいいですか?」という来訪者の問いに「愛のように美しいです」と小声で答え、イスラエルで会った行きずりのドイツの青年は、私たち日本人が身体障害者と共に旅行しているのを見ると「不自由な人たちを連れて来てくれてありがとう」と我々に礼を言ったのです。[2,p60]
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 このブラジルの未婚の母やドイツの青年と、我が国の「産休は働く女性の権利」などと主張する知識人を比べて見よう。どちらが人間として深い豊かな生き方をしているか。曽野さんは、この点を問うているのである。我が国の戦後教育はこういう生き方を教えてこなかった。

「私は現在の日本の危機と国家の貧しさを、教育に感じます」とは、「夢のお国」の外の世界を30年間も歩いてきた曽野さんの実感であろう。

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(125) 蘇るアフリカの大地(上) 〜笹川グローバル2000の開始〜
 餓死者200万人のエチオピアの農業再建に笹川は立ち上がった
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257enippon/jogbd_h12/jog125.html

b. JOG(126) 蘇るアフリカの大地(下) 〜緑の革命〜
 「日本よ、ありがとう」蘇った緑の大地に感謝の声が湧き起こった
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257enippon/jogbd_h12/jog126.html

c. JOG(699) 国柄は非常の時に現れる(上)〜 それぞれの「奉公」
 自衛隊員、消防隊員は言うに及ばず、スーパーのおばさんから宅配便のおにいさんまで、それぞれの場で立派な「奉公」をしている。
http://blog.jog-net.jp/201105/article_4.html

d. JOG(654) 子供が喜ぶ武士道論語
「自分の命より大切なものがあると知ったときに、その人の人生は輝きを増して、人間として素晴らしい人生を歩むことができるのです」
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h22/jog654.html

e. JOG(735) 井上毅 〜 有徳国家をめざして(上)
 大震災では、戦前の教育勅語が理想としていた生き方が、あちこちで見られた。
http://blog.jog-net.jp/201202/article_4.html

f. JOG(736) 井上毅 〜 有徳国家をめざして(下)
 井上毅が発見した我が国の国家成立の原理は、また教育の淵源をなすものであった。
http://blog.jog-net.jp/201202/article_7.html

g. JOG(581) 国民の幸を願われ20年
 両陛下は180回のご巡幸で全都道府県514市町村を訪問され、770万人の奉迎を受けられた。
http://blog.jog-net.jp/201103/article_3.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 曽野綾子「『私の違和感』 何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」、週刊現代、H25.8.19

2. 曽野綾子『生活の中の愛国心』★★、河出書房新社、H23
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/430902081X/japanontheg01-22/


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