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help RSS No.769 「あったか」な国、ニッポン

<<   作成日時 : 2012/10/13 11:28   >>

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 機内で温かな人々が繰り広げた心温まる物語。

■転送歓迎■ H24.10.14 ■ 40,309 Copies ■ 3,599,443Views■


■1.空の上の簡易ベッド

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 小学校4年生の娘は心臓病を患っており、今回、東京で手術をしていただいたのですが、この日は完治しないまま福岡に戻ることになりました。

 治っていないことは、本人がいちばんわかっていました。長い間、抱いていた、思いっきり走るという夢が、またまた遠くなってしまったことも----。[1,p12]
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 ANA(全日空)の機内では、座席上に簡易ベッドが取り付けられ、それをベージュ色のカーテンで仕切って、娘はそこに横になりました。2回目とはいえ、まだまだ慣れない娘は、不安と緊張から顔がこわばっています。妻と私もそうでした。

 そんな私たちを、たくさんのCA(キャビン・アテンダント、客室乗務員)が、「ご搭乗ありがとうございます」「大丈夫ですよ」と温かく迎えてくださいました。

 席につくと、私どもを担当してくれるCAが挨拶に来られました。「本日担当させていただきます〇〇です。どうぞよろしくお願いいたします。何でもお気軽にお声をおかけくださいね。おつらくないですか?」と、やさしく笑顔で話しかけてくれました。さらに自分の小学校時代の笑い話なども披露して、娘の緊張を取り除いてくれました。

 空港までの長時間の移動で疲れたのか、やがて娘は眠ってしまいました。飛行機が飛び立ち、飲み物のサービスが終わった頃、CAが話しかけてくれたので、手術のこと、娘が飛行機に乗るのを楽しみにしていたこと、実は、今日が娘の10歳の誕生日であることなども、思わず、口にしてしまいました。


■2.空の上の「ハッピバ−スデー、トゥーユー」

_________
 しばらくして、娘が目を覚ましました。
 すると、担当のCAさんと一緒に2人のCAさんがいらして、「ハッピバ−スデー、トゥーユー」と小声で歌い始めてくれたのです。
 それだけではありません。「おめでとうございます」と手作りのキャンディバスケットとクルー(乗務員)の方々が書いてくださった励ましのメッセージ入りの絵葉書を持ってきてくださいました。

 娘は突然の出来事にびっくりしながらも、うれしそうに微笑んでいます。久しぶりに見た娘の笑顔でした。[1,p15]
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 CAさんたちがバースデーソングの1番を歌い終わった、と思ったら、また「ハッピーバースデートゥーユー」が始まりました。それもカーテンの外で。

 私たち家族、そしてCAさんまでもが驚き、顔を見合わせました。カーテンを少し開けてみると、近くに座っていた女性のお客さん方が歌ってくれています。娘のために。さっき、話していたのが、聞こえていたのでしょう。やがて男性の声も混じって、多くの人の歌声がカーテン越しに聞こえてきます。

__________
 娘の誕生日をこんなにも多くの方にお祝いしていただくなんて・・・。
 大変ありがたいと思う気持ちと、娘を不憫(ふびん)に思う気持ちで胸がいっぱいになり、涙があふれ出てしましました。
 娘の目にも涙があふれていました。・・・

 人って温かいな。世の中捨てたものではないな。
 皆様に大きな勇気と温かさをいただきました。
 カーテン越しに聞こえてくる皆さんの歌声に気づき、「私に?」と尋ねた娘の顔は今でも忘れられません。
 これからも前途多難ですが、家族3人、力を合わせて生きていきます。[1,p19]
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■3.「ゆで卵食べるかい」

 新人のCAだった頃のある日、お客様の搭乗案内をしていた際、ある男性のお客様から怒鳴られた事がありました。満席で、そのお客様が搭乗された時には、すでに周りの物入れがいっぱいで、荷物を入れるところがない状態。「どこにしまえばいいんだよ」と、大きな声で怒鳴られてしまいました。

 こちらが気づいて、すぐにご案内すべきところを後手に回った私のミスでした。他の場所をご案内して事なきを得たのですが、そのお客様の声が周囲の方々に聞こえ、驚かせてしまいました。「失礼いたしました」と他のお客様にもお詫びして、業務に戻りました。

 「ゆで卵食べるかい」と声をかけられて、振り返ると、団体客の1人で高齢のご婦人が笑顔で私を見ています。

「ご用でございますか」と、お客様の元に戻ると、ゆで卵がたくさん入ったパンパンのビニール袋の中から、ラップに包まれた卵を一つ取り出して、渡してくださいながら、「あとでこれ食べて、元気だしな」とやさしい言葉をかけてくれました。

 すると、今度は、隣の女性のお客様がタッパーを開けて、楊枝(ようじ)を挿し、「一つつまんでいきなさい。私が漬けた漬物。おいしいよ」

「ありがとうございます」と、ご好意をありがたく頂戴し、「日本茶でもご一緒にいかがでございますか?」と皆さんにお声をかけました。

 するとゆで卵をくれた方から、「いろいろあるけどさ、人生いいこともあるからな、頑張りな」と温かい励ましのお言葉が返ってきました。男性客から怒鳴られた私を励ましてくださったのです。


■4.「ゆで卵ってこんなおいしいものだったの」

__________
 胸がジーンと熱くなりました。
 この時、新人だった私は、自分では笑顔で業務をしているつもりでしたが、表情に出てしまっていたのかもしれません。・・・
 そんな時のお客様の励ましと笑顔----。
 これ以上、強いパワーと与えてくれるものはありません。

 目からこぼれそうになる涙を必死で抑えながら、皆さんに、心の中で「ありがとう」を返しました。

 到着後、次のフライトまでの休憩時間に、いただいたゆで卵を一口食べてみました。「ゆで卵ってこんなおいしいものだったの」と、驚くほど味わいのある卵でした。

 一緒にいただいたお漬物を噛むと、ぽりぽりと小気味いい音がします。噛むたびに響くその音に心がどんどん癒やされ、軽くなっていく気がしました。[1,p101]
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 CAが何気なくお客にかけたひと言に、感謝の手紙が来ることも少なくないという。「そして、お客様からの言葉や笑顔に励まされることも多々あります。おもてなしをしなくてはならない私たちが、反対にたくさんのものをいただくこともあります」と、このCAは記している。


■5.神様からのプレゼント

 ANAには、出発空港で子どもを預かり、到着空港で出迎えの保護者に引き渡す「ANAキッズ らくのりサービス」があります。夏休みともなると、祖父母や親戚宅に向かう多くのANAキッズが搭乗します。

 そんなANAキッズの中に、なんとなく話しかけにくい雰囲気の男の子がいました。CAとして担当していた私は「緊張している? 大丈夫? さあ、間もなく離陸よ。空の旅を楽しんでね」と、その子の肩をポンと叩きました。

 その子は、はっとして私を見て、か細い声で「はい」と返事しました。しかし、美しい雲海の広がる窓の外も見ずに、その子は暗い表情のままでいます。左手には、なにやらチェーンのついたペンダントらしき物を握っています。

「ペンダント持っているの? 素敵ね。誰のお写真が入っているの?」と尋ねましたが、男の子はこぶしをさらに強く握りしめるだけでした。

「ごめんなさい。お姉さん、変なこと聞いちゃったかな。気にしないでね。そうそう間もなく富士山が見えますよ」と取り繕いました。

 そして、ANAキッズのみんなに向かって、「ほーら、間もなく富士山よ。山のてっぺんに雪が少しかかって、とってもきれいでしょう。みんな、見える?」と話しながら、通路側に座っていたその男の子をドアの窓まで案内しました。

「ほらね、きれいでしょ。こんな富士山、なかなか見られないのよ。みんないい子だから、神様からのプレゼントね。お姉さんもみんなのおかげでラッキー」と、オーバーアクションをしながら、「富士山は日本でいちばん高くて、大きな山です。こんなにきれいに見えたみんなは、富士山みたいに心の大きな人になれるからね」と付け加えました。「はーい」とANAキッズたちは応えます。


■6.「神様は必ず、もう一つのプレゼントをくださるはずだから」
 そんな中、先ほどの男の子が小さな声で話しかけてきました。「ねえねえ、お姉さん、神様からのプレゼントって一個だけなのかな。僕、もうもう一つだけでいいから神様のプレゼントが欲しいんだけど・・・」

「え? 何? 何が欲しいの?」 話しかけてくれたことが嬉しくて、すぐに聞き返しましたが、男の子は「あ、やっぱりなんでもないや」と言って、下を向き、また口を閉ざしてしまいました。その後もいろいろ話しかけたが、男の子は心を閉ざしたままで、結局、神様から何が欲しいのか、口にすることはありませんでした。

 数日後、男の子のおばあさまから、一通の手紙が届きました。

__________
 先日は孫が大変お世話になりました。
 元気のない孫にいろいろ話しかけてくださったとのこと、ありがとうございます。

 実は、あの子は先日、両親を交通事故で二人とも亡くしてしまったのです。
 兄弟も誰もいない孫は、私のところで暮らすべく、初めて飛行機に乗ったのでした。

 私が空港で迎えた時「大丈夫だったかい?」と聞くと、「とってもきれいな富士山を見たよ。神様のプレゼントなんだって」とか、「お姉さんがいっぱい話してくれたので、寂しかったけど涙が出なかったよ」って、うれしそうに言っていました。

 寂しくてたまらないはずの孫に楽しい思い出と元気をくださり、本当にありがとうございました。[1,p46]
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 その手紙を読んで、CAはこう記している。

__________
 涙がこみ上げてきました。
 そして、ただ元気にさせようと、張り切っていた自分が情けなくなりました。

 ペンダントの中身は、きっとニコニコ顔のご両親だったのでしょう。自分の写っている家族写真だったのかもしれません。
 あなたが言っていたもう一つの神様のプレゼントが何だったのか、今はわかります。

 ごめんね。あなたの気持ちをわかってあげられなくて。一人であんなに小さい胸で悲しみ、苦しみを背負っていたのに、泣かないでえらかったね。

 あなたならきっとこれからたくましく生きていけます。
 神様は必ず、もう一つのプレゼントをくださるはずだから。[1,p47]
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■7.「あんしん、あったか、明るく元気」

 以上は、ANAの元CAで、現在、ANAラーニング株式会社の講師として、多くの企業・学校等で人材開発に携わっている三枝(さえぐさ)理恵子さんの『空の上で本当にあった心温まる物語』に出てくるエピソードである。

 ANAでは「あんしん」「あったか」「あかるく元気」を大切にしているというが、これらのエピソードはいずれも乗客とCAたちとの「あったか」な心の交流を描いている。

 そして人々の「あったか」な気持ちに触れて、心臓病の娘さん、両親を亡くした男の子、そして失敗して怒鳴られたCAが「あかるく元気」を取り戻すのである。

「あんしん」は、航空会社として最重要なのは言うまでもないが、それを築く原動力も、乗務員や整備士、パイロットたちの乗客のためを思う「あったか」な気持ちだろう。

「あんしん、あったか、明るく元気」とは、国家の次元でも大切なことだ。そして、それはわが国の伝統的な理想でもあった。戦国時代に来日した宣教師ザビエルから、明治初年に日本各地を訪れた女性旅行家イザベラ・バードまで、わが国の人々の親切さ、思いやりの深さを感銘を持って語っている。[a,b,c]

 実はわが国の建国宣言とも言うべき神武天皇の次の詔(みことのり)にも「あったか」な国を作ろうという理想が込められていた。

__________
天地四方、八紘(あめのした)にすむものすべてが、一つ屋根の下の大家族のように仲よくくらそうではないか。なんと、楽しくうれしいことだろうか。[d]
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 国民が「あんしん、あったか、明るく元気」で暮らせること、そういう姿がわが国の伝統的な理想であり、それを目指して多くの先人たちが努力して、実際にそうした国柄を築いてきた。その努力を継承する義務が現代の我々にある。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(484) 美しい国だった日本
「方々の国で出会った旅行者は、みな感激 した面持ちで日本について語ってくれた」
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog484.html

b. JOG(452) 幸福なる共同体を創る知恵
 幕末から明治初期に来日した欧米人たちが見た日本人の幸せな生活。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog452.html

c. JOG(680) 江戸時代の庶民は幸福だった
 貧しくとも、思いやりと助け合いの中で人々は幸福に暮らしていた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h22/jog680.html

d. JOG(074) 「おおみたから」と「一つ屋根」
 神話にこめられた建国の理想を読む。
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257Enippon/jogbd_h11_1/jog074.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1.三枝理枝子『空の上で本当にあった心温まる物語』★★★、あさ出版、H22
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4860634217/japanontheg01-22/

■「『あったか』な国、ニッポン」に寄せられたおたより

■公一さんより

「空の上で本当にあった・・話」が紹介されていましたが、2年前、私も同じ経験をしました。

 脊椎損傷で体が不自由になった母と、鹿児島空港から大阪伊丹空港まで、JALを利用しました。機内では、座席を6席つぶして、簡易ベッドを設置してあります。

 ANAではなくJALでしたが、やはりCAさんが細かな心遣いをしてくれ、降りるときには手書きのメッセージをくれました。
発着地の両方の空港でも、6、7人の係員さんが、荷物を持ったり、ストレッチャーを押してくれたりして、付き添った私と妹も手ぶらで行けるほどでした。

 3人分の搭乗料とストレッチャー料金を遙かに超えたコストがかかったと思いますが、そこはやはり損得勘定抜きで、ハンディキャップのあるお客に、できるだけ心地よい空の旅を過ごしてもらいたいという、航空会社の強い意志を感じました。

 経営が色々と取りざたされるJALですが、やはり老舗は違うなと感心したものです。今回、ANAのケースをご紹介していただいて、これは日本の一流の「おもてなしの心」なんだと分かりました。

■伊勢雅臣より

「おもてなしの心」は「思いやりの心」ですね。

■喜明さんより

 今回の記事もそれぞれ読んでいるうちに自然と涙が溢れると共に、日々何事もなく過ごせる「安全」「安心」の有り難さを改めて感じさせられました。

私は企業で安全保障貿易管理に関する仕事をしていますが、日本の優れた製品や技術が危険な國やテロリスト達に渡り、国内外の安全が脅かされることのないよう管理・努力していきたいと思います。

「安全を朝に祈って 夕べに感謝」を心に刻み、務めています。

■編集長・伊勢雅臣より

 安心も安全も、国民各層の努力で保たれています。


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