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zoom RSS No.723 沖縄戦「住民自決命令」(下) 〜 神話との戦い

<<   作成日時 : 2011/11/13 03:19   >>

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 史実として否定されても、いまだにプロパガンダとして生き延びる「住民自決命令」神話。

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■1.米軍情報をもとに書かれた『鉄の暴風』

『鉄の暴風』は座間味島での集団自決に関しては、守備隊長・梅澤裕少佐が住民に自決を命じた後、こう行動したと伝えている。

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 最後まで山中の陣地にこもり、遂に全員投降、隊長梅沢少佐のごときは、のちに朝鮮人慰安婦らしきもの二人と不明死を遂げたことが判明した。[1,p36]
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 県立沖縄資料編集所主任専門員の経歴を持つ大城将保(おおしろ・まさやす)氏は、この記述に関して次のような指摘をしている。

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 梅沢少佐は今なお健在であって、明らかに事実誤認である。それよりも気になるのは、「梅沢少佐のごとき」とか「朝鮮人慰安婦らしきもの」といった文章のアヤに執筆者の主観が濃厚に出ていて実証精神を疑わしめるところがある点である。[1,p46]
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 さすがに『鉄の暴風』第9版では、この事実誤認の一節は完全に削除されている[1,p47]。しかし、なぜ、このような事実誤認がなされたのか、その経緯は『鉄の暴風』の特殊な性格を明らかにしている。[1,p249]

 座間味島での戦闘で敵弾を受けて重傷を負った森井芳彦少尉は、部隊本部の防空壕で一人の補助看護婦から手当を受けていた。だが、助かる見込みがなかったため、その補助看護婦は「森井少尉が死ぬなら私もお供する」と語り、ほかの兵士を外に出した後で自決した。

 ちなみに、この女性は朝鮮人慰安婦だったが、戦争が始まるとともに補助看護婦として従軍していたのだった。梅澤隊長の部下であった関根清氏は、二人が壕に残る場面を確認しており、手記にこう書いている。[1,p249]

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 戦闘下、本部の壕を捜索した米軍により、自決していた二人を発見、少尉の階級章を、少佐と見まちがい、丁重に遺体を収容したのが伝わったものと思われます。
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『鉄の暴風』の執筆者は、現地調査もせずに、米軍から提供された情報をそのまま使って、机上で「住民自決命令」の神話を創作していたのである。


■2.神話の一人歩き

『鉄の暴風』が創作した「住民自決命令」神話は、昭和34(1959)年の沖縄タイムス編集局長・上地一史氏らによる『沖縄戦史』以降、様々な歴史書・戦記に繰り返し引用されていった。

 なかでも熱心だったのは岩波書店で、昭和40(1965)年の『沖縄問題二十年』(中野好夫、新崎盛暉著)、昭和43(1968)年の『太平洋戦争』(家永三郎著)、昭和45年(1970)年には大江健三郎の『沖縄ノート』と、立て続けに関連本を出版している。

 たとえば、家永三郎の『太平洋戦争』の昭和43(1965)年初版には、次のように書かれている。[1,p38]

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 沖縄の慶良間列島渡嘉敷島守備隊長の赤松隊長は、米軍の上陸に備えるため、島民に食糧を供出して自殺せよと命じ、従順な島民329名は恩納河原でカミソリ・斧・釜などを使い集団自殺をとげた。
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 これでは軍が食糧を確保するために島民に「自殺」を命じ、「従順な」島民がその命令通り、自殺したということになる。「軍国主義に盲従して自殺した愚かな島民」と見なされては、亡くなった人々も浮かばれまい。


■3.「渡嘉敷島にも何度も足を運び、島民の人たちに多数会いました」

「住民自決命令」神話の一人歩きに異を唱えたのが、昭和48(1973)年に出版された曽野綾子氏の『ある神話の背景』だった。この著書がそれまでと大きく違う点は、曽野氏自身の次の発言に現れている。[1,p42]

__________
 もとより私には特別な調査機関もありません。私はただ足で歩いて一つ一つ疑念を調べ上げていっただけです。本土では赤松隊員に個別に会いました。・・・

渡嘉敷島にも何度も足を運び、島民の人たちに多数会いました。大江氏は全く実地の調査をしていないことは、その時知りました。
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 当時は、集団自決の現場に立ち会った村や軍の関係者が多く生存していた。曽野氏はその一人ひとりに直接会い、話を聞いた。赤松隊長の副官・知念朝睦氏が軍命令を明確に否定し、また安里喜順・元巡査が「赤松氏は自決命令など出していない」と証言したのも、曽野氏による直接取材によってであった。

 集団自決の現場を知る人々は、曽野氏の取材によって、ようやく真実を語る機会を与えられたのだった。


■4.つき崩された「住民自決命令」神話

 沖縄県の戦史研究家、戦記作家たちは、曽野氏の実地調査を支持した。先に発言を引用した県立沖縄資料編集所の大城将保氏は、曽野氏の『ある神話の背景』は、「同書(『鉄の暴風』)の記述の誤りを逐一指摘しているが、ほとんど指摘の通りである」と指摘している。[1,p46]

 また仲程昌徳(なかほど・まさのり)氏は著書『沖縄の戦記』でこう述べている。[1,p48]

__________
 ルポルタージュ構成をとっている本書で曽野が書きたかったことは、いうまでもなく、赤松隊長によって、命令されたという集団自決神話をつき崩していくことであった。

そしてそれは、たしかに曽野の調査が進んでいくにしたがって疑わしくなっていくばかりでなく、ほとんど完膚なきまでにつき崩されて、「命令」説はよりどころを失ってしまう。すなわち、『鉄の暴風』の集団自決を記載した箇所は、重大な改訂をせまられたのである。
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 家永三郎もさすがにプロの歴史家としてこうした動向を無視できず、『太平洋戦争』の平成14(2002)年に岩波現代文庫から出た版では、先に引用した箇所を次のように書き換えている。[1,p53]

__________
 島民329名が恩納河原でカミソリ・斧・鎌などを使い凄惨な集団自決をとげたのも、軍隊が至近地に駐屯していたことと無関係とは考えられない。
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 負け惜しみたっぷりの口調であるが、史実なしに推定でものを言えるのは、せいぜいこの程度であろう。『沖縄問題二十年』も絶版となった。

 曽野氏の実地調査に基づく追求は、「住民自決命令」神話のひとり歩きを止めたのである。


■5.大江氏と岩波書店を相手に訴訟

 しかし、こうした動向の中で、大江の『沖縄ノート』だけは改訂されることもなく、版を重ねていった。また教科書にも「軍命令で集団自決」などといまだに書かれていた。

 この事態に、平成17(2005)年、座間味島の元守備隊長・梅澤裕氏と、渡嘉敷島守備隊長の赤松嘉次氏(昭和55年死去)の弟・秀一氏が、大江氏と出版元の岩波書店に対して、『沖縄ノート』の出版差し止めと損害賠償3千万円の支払いを求めて、大阪地裁に提訴した。赤松氏は手記にこう書いていた。[1,p93]

__________
 私には大学にいっている娘がある。この事件を知って「お父ちゃんは軍人やった。軍人なら、住民を守るのが義務じゃないか」と私に質問したことがある。・・・

 いまさら弁解がましく当時のことを云々するのは本意ではないが、沖縄で“殺人鬼”なみに悪し様に面罵され、あまつさえ娘にまで誤解されるのは、何としてもつらい。
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 沖縄で“殺人鬼”なみに面罵されたというのは、昭和45(1970)年3月、渡嘉敷島での合同慰霊祭に出席するために沖縄を訪れた際に、空港で抗議の洗礼を受けたことを指す。

 また、これは自分たちだけの問題ではなく、教科書に、軍の命令・強制という記述が堂々とまかり通っていることを知って、日本の子供たちの将来にかかわる問題なので、裁判に訴えようと決意した、という。[1,p97]


■6.「自決命令については、その真実性が揺らいだといえるが」

 平成20(2008)年3月、大阪地裁は二人の訴えを退け、さらに高裁、最高裁も上告を棄却した。

 高裁判決では、「その後公刊された資料等により、控訴人梅澤及び赤松大尉の(中略)直接的な自決命令については、その真実性が揺らいだといえるが、本件各記述やその前提とする事実が真実でないことが明白になったとまではいえない」というものであった。

 この判決の論理は異様である。たとえば、あなたが大江の本で「人殺し」呼ばわりされて、家庭や職場でひどい目にあったとする。

 そこで大江を訴えたとしたら、被告である大江側が「人殺し」呼ばわりが正当であることを証明しなければならない。大江氏がそれを証明できなければ、根拠もなく「人殺し」呼ばわりしたということになり、賠償責任が生ずる。「人殺し」呼ばわりされた被害者のあなたが、人殺しでないことを証明する責任はない。

 裁判所がこんな倒錯した論理を使ってまでも、大江側を無罪としたのは、ノーベル賞作家への配慮が裁判官を萎縮させたからだ、との見方も出ている。

 ただ事実関係については、高裁判決においても、隊長命令は「証拠上、断定できない」としている。史実として「証拠上、断定できない」のであれば、「日本軍が住民自決命令を出した」などという記述は、少なくとも教科書において許されることではない。

 この裁判の過程で、文科省も、歴史教科書での本事件の記述に関して、「軍が命令したかどうかは明らかとはいえない」との検定意見をつけ、各教科書で、軍の命令で住民が自決したとの断定的な記述は、不十分ながらも訂正されていった。[b]


■7.反対集会の参加者数では事実を抑えこめない

 こうした動きに抵抗の狼煙をあげたのは、やはり沖縄タイムスだった。平成19(2007)年の1年間だけで、100本以上もの「住民自決」関連の記事を掲載した。社を上げて神話を護ろうとした感がある。

 同年9月29日には、沖縄県宣野湾市で教科書検定に関する抗議集会で開かれ、朝日新聞が一面トップで「『集団自決強制』削除、沖縄11万人抗議」と報道した。

 この報道に、当時の福田首相は「随分たくさん集まったね。沖縄県民の気持ちは私も分かりますよ」と発言。これを受けて、文科省も「(訂正申請が)出てきたら、真摯に対応したい」と教科書各社に訂正申請を促すような発言までした。

 実際の参加者は沖縄県警の推定で4万人強、集会写真によるカウントでは2万人程度とされている。それを「11万人」と報道するあたりに、事実をねじ曲げても主張を通そうとする、神話の創作者たちと同じ姿勢が垣間見える。

 いずれにせよ、「住民自決命令」が事実でないことを地道に検証しようしてきた曽野氏以降の動きを、マスコミと数の力で抑えこもうとしたのである。

 一つの出来事が実際にあったかという問題は、曽野氏が丹念に当事者の話を聞いて回ったように、あくまで事実調査をもとに追求すべきであり、反対集会の参加者数で決まるものではない。


■8.プロパガンダを見破る力

 以上、「住民自決命令」という神話が、どう創作・流布され、またそれを疑う人々がどう戦ってきたか、経緯を辿ってきた。史実としては、すでに歴史家の家永三郎氏が負け惜しみたっぷりながらも、自著において軍命令説を撤回した点から見ても、ほぼ決着がついた、という所であろう。

 残る問題は、教科書や様々な出版物を通じて、長年流布されてきた「住民自決命令」というプロパガンダから、いかに多くの国民が目覚めるか、ということである。

 そのプロパガンダの象徴が、大江健三郎の『沖縄ノート』である。60年以上前の神話をそのまま流布し、その後の多くの証言者の言い分も、また実地研究の進展も一切黙殺して、堂々と版を重ねているのは、さすがにノーベル賞作家である。自説を撤回した歴史家などとは格が違う、というところか。

 逆に言えば、この『沖縄ノート』は、戦後、長らくわが国を支配してきた左翼プロパガンダの記念碑的作品なのだ。

 こうした作品は末永く版を重ねてもらい、学校の総合学習などで曽野氏の『ある神話の背景』と読み比べてみれば、生徒たちも事実を追求する歴史研究と、虚構に基づくプロパガンダとの違いを、実例を通じて学ぶことができるだろう。

 国民が自らの意思をもって政治的選択を行うという自由民主主義体制を守るには、国民一人ひとりがプロパガンダを見破る力を鍛えなければならない。

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(722) 沖縄戦「住民自決命令」(上)〜 神話の創作者たち
「住民自決命令」の神話を創作した沖縄タイムスは、米軍の御用新聞だった。
http://archive.mag2.com/0000000699/20111106080000000.html

b. JOG(537) 何を目指すか、沖縄タイムス
 反日意識を煽り、米軍の撤退を要求する、その先にあるものは?
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog537.html

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